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つくば ぶらいと珈琲物語

 ふと本屋さんの新刊書の中に珈琲という文字を発見して、何だろう?と見てみました。するとそこには「つくば ぶらいと珈琲物語」という本が。珈琲店主夫人が綴った26年間の奮闘記と帯に書かれてあります。さらにその帯をよく読むと「看板メニューとなった手作りシフォンケーキ」とあります。いったい、どんな内容でしょう。店先で本を見ていると、なんだか北柏にあった喫茶店「ポアンボナール」のイメージが頭に浮かんできます。
 あの「ポアンボナール」のガラスでできた扉を開けるとチリンチリンと鈴が鳴り、静かな店内、漆喰の壁、ステンドガラス、煉瓦の壁、そして珈琲の香り。少し強く炒ってあるためか、焙煎された豆は黒く油が滲み出ているほど。それをカウンターのおばさんが注文を受けてから1杯分の豆をキャニスターから取り出し、小さなフジローヤルのカットミルに投入。ウィーンと小さいながらも業務用マシーンの音。よく似た製品にカリタのナイスカットミルがあります。私はあの「ポアンボナール」で使っているミルがてっきりそれだと思い込んで買いに行ったことがあるのです。でも、買う前にモーターの音を聞いてガッカリ。そんな軽々しい音ではなく、もっと重厚な音なのです。ある雪の舞う頃に「ポアンボナール」に行き、ミルについて聞いたら、フジローヤルのものだと教えてくれたのでした。それ以来、フジローヤルというと憧れの珈琲機械のメーカ。いつかは買おうと思いつつ、まだ買っていません。
 そしてそのフジローヤルでカットされた豆をペーパーフィルターで丁寧に淹れた珈琲。少し苦味が強い珈琲。その苦い珈琲に合うのがシフォンケーキでした。ホイップクリームがさり気なく皿の上に置かれてあり、その横に少し大きなシフォンケーキ。静かな店内。「騒がれるお客様は来ないでください」と扉に書かれてあった喫茶店。各テーブルには読書灯があり、「読書される際にはお使いください」とメモが付けてありました。そんな静かな店内。あの「ポアンボナール」の雰囲気がこの「ぶらいと珈琲店」にもあるのでしょうか?
 「つくば ぶらいと珈琲物語」という本の内容をよく読みもせず、なぜか私はどうしてもこの本をその「ぶらいと珈琲」という喫茶店に行ってから読みたいと思ったのでした。そこで調べてみるとどうも実在している喫茶店らしく住所がつくば市天久保1-6-1 松見公園前 とあるのです。ちょっと行ってみよう!と「つくば ぶらいと珈琲物語」を手にしてつくば市へ。そして松見公園の前にある商店の並ぶところをウロウロ。でもありません。喫茶店としてあるのは「パルケ」というところ。どうも、その「パルケ」のある場所が「ぶらいと珈琲」の場所ではないかなぁ。日曜の午後、通りを行き交うのは自動車と自転車に乗った筑波大学の学生ばかり。なかなか訊けない。と、そこで季節限定栗羊羹と生クリーム大福という気になる幟を出している和菓子屋さん「菓匠 わたなべ」へ。(お店の詳細はこちらをクリック) 気になっていた栗羊羹と生クリーム大福のブルーベリー味とプレーンを買って、「ぶらいと珈琲」について訊いてみました。すると随分と前に突然にお店を閉められてしまったのだと教えてくれました。場所はやはりあの「パルケ」という喫茶店の場所だったとか。そうかぁ、もう無くなった喫茶店のことについて書かれてあるんだこの本には。
 北柏にあった喫茶店「ポアンボナール」。そのオーナーも今はお店を閉めて八ヶ岳の別荘地で細々と趣味として喫茶店「ポアンボナール」の看板を掲げています。でもそれは営業をしているのではなく、あのお店をしていた頃が懐かしくて飾ってあるのだとか。広い庭で、旦那さんと石を拾いいつか農園にしてブルーベリーにルッコラやアスパラ、トマト、さつま芋などを育てて、食べたいと話されていたことを喫茶店「パルケ」の前で想い出したのでした。「パルケ」に入ってみようかなと思うもどうもつくば周辺の喫茶店は日曜日がお休みなのでしょうか。しっかりとシャッターが閉ざされた「パルケ」。残念。で、松見公園に入って「ぶらいと珈琲物語」を読んだにでした。そして最後に「平成15年9月5日、、、、私の突然の入院で店を閉めることになり、、、店を閉めてからちょうど4年目にあたる平成19年9月5日、、、創業30周年目に本書を刊行できたことは、、、」とあります。
 著者「いちご一江」の並々ならぬ「ぶらいと珈琲」への愛を感じたのでした。もう少し早くせめて5年前にこの喫茶店を知っていたらその雰囲気を味わうことができたのに。と。そこまで思っていて確か「ポアンボナール」も同じ時期に閉店してしまったことに気づきました。ある時、ちょっと珈琲を飲もうと真っ赤なアルファロメオスパイダーの幌を開けて「ポアンボナール」へ。ところがお店のシャッターが閉まっています。そしてシャッターの上に張り紙が。何だろう?そこには「しばらくお休みします。」次にお店に行くとその張り紙とは別の張り紙が。「お店を閉店することになりました。ありがとうございました。尚、珈琲豆の注文は承りますので下記まで」。あの素晴らしい雰囲気で飲めるおいしい珈琲。それが無くなったことの悲しみ。おそらくはつくば市でも同じように無くなった「ぶらいと珈琲」を悲しんだ人が多かったに違いないでしょう。
 この「つくば ぶらいと珈琲物語」という本に出合え、それをその喫茶店のあった場所近くの松見公園で読むことができたことだけでも、よかったなぁと思うのでした。さて、珈琲が飲みたいけれども、、、この辺りには喫茶店が無いみたい。困ったなぁ。
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by kankyoichiba | 2007-10-15 12:05 | いちば担当者の独り言  

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